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Joby Aviation

導入事例

工場からフライトまで、未来のために再構想

Joby Aviation は Zerobus Ingest でほぼリアルタイムのテレメトリーインサイトを実現

<5 秒

意思決定者の手元にテレメトリーデータを届けるまで

7万〜10万

1 接続あたり毎秒のメッセージ数

数千

同時に Delta テーブルへストリーミングするエッジデバイス数

customer story joby aviation still image

Joby Aviation は、ゼロから設計した電動航空機で空の旅を再発明。精密部品の製造からフライトテレメトリーの分析まで、製造のあらゆる段階で性能最適化に取り組んでいます。しかし、複数の工場拠点と膨大なテレメトリーデータの流入に対し、従来の取り込みアーキテクチャでは追いつけませんでした。遅延や重複データ、運用の複雑さがイノベーションを停滞させ、リアルタイムのシグナルを即時のアクションにつなげることが難しくなっていました。Lakeflow Connect の一部である Zerobus Ingest により、Joby はデータ基盤を刷新。数千のデバイスから毎分ギガバイト単位のデータをレイクハウスへダイレクトにストリーミングし、5 秒未満で届けています。かつては脆弱なパイプラインと複数ホップが必要だった処理が、いまや数秒で完了。迅速な意思決定、より強力なフィードバックループ、工場からフライトまでのスマートな道筋を可能にします。

多段ホップのデータ経路が、イノベーションを滑走路で足止め

Joby Aviation は、都市モビリティを速く静かでクリーンにする電動垂直離着陸(eVTOL)機を切り拓く、垂直統合型の航空企業です。精密部品の製造からフライトテレメトリーの分析まで、テクノロジースタックをエンドツーエンドで自社保有していることが、迅速な反復と継続的な改善を可能にしています。しかし、その自社保有には巨大なデータ課題が伴います。データエンジニアリングにおけるスケーラブルで賢いアプローチが不可欠でした。

Joby には、複数拠点にまたがる大量のテレメトリーや工場データを確実に取り込み、運用に生かす方法が必要でした。「私たちは自社の航空機を製造し、フライト分析を行い、フルの生産パイプラインを運用しています。それらすべてがデータを生みます。より良い意思決定とイノベーションの加速のために、異なる工場や機械、ユースケースにまたがって、そのデータを捕捉して結び付ける必要があるのです」と、Joby Aviation の工場システムリード、Dominik Müller は語ります。目標は、このデータを AI エージェントやビジネスダッシュボード、分析ワークフローからほぼリアルタイムで使えるようにすることでした。しかも、エンジニアリングチームに過度な負担をかけずに。

Joby のユースケースは、データライフサイクルの全体に及びます。工場では、接続された機器からテレメトリーを取り込み、設備の稼働状況を監視し、トレーサビリティを高め、製造現場の高精度なシグナルを AI エージェントに供給します。航空機からのフライトデータを分析し、重要な指標を追跡して継続的な改善に生かします。これらの運用データは、主要プロセスやパフォーマンスの傾向を可視化するリアルタイムダッシュボードにも活用され、経営層の判断を支えます。一方で、過去データはアーカイブして、機械学習モデルの学習や安全性分析、規制遵守を支援します。

これらのユースケースはすべて、地理的に分散した工場拠点からデータを取り込むことに依存しており、現場の条件は大きく異なります。そのため、データ整合性とリアルタイム性の確保が大きな壁となっていました。「工場はそれぞれ違います。機械も違えば、インターネット接続も違い、依存関係も異なります」とミュラーは言います。「そのばらつきに対応するには、どの拠点でもテレメトリーを素早く確実に送信できる仕組みが必要でした。これらの接続は短命なことも多いため、現場とクラウドの両方でレジリエンスを組み込む必要があります。」

Databricks を導入する前、Joby はメッセージバスと Spark の取り込みジョブを使ったマルチホップのアーキテクチャに依存し、工場内のローカルエージェントからクラウドへデータを送っていました。この方法は堅牢性を確保する一方で、取り込み基盤を大きく複雑化させていました。ミュラーは「その 2 ホップのアーキテクチャは運用の手間を増やし、データの重複を生み、管理には追加のツールと専門知識を要しました」と述べます。

多段ホップのデータ経路が、イノベーションを滑走路で足止め
Complex ingestion path requiring multiple hops and tools.

データの量と速度が増え続けるにつれ、このアーキテクチャの維持はますます困難になりました。高スループットのテレメトリーを扱え、数千の接続にスケールし、運用の負担を減らす、よりシンプルな解決策が必要でした。これらの課題を受け、Joby は Databricks Lakeflow Connect を採用。取り込みの簡素化、インフラ負荷の軽減、データパイプライン全体でのインサイトまでの時間短縮を目指しました。

Lakeflow Connect でテレメトリーの大規模取り込みを実現

取り込みアーキテクチャを簡素化しスケールさせるため、Joby は Databricks Lakeflow Connect を選びました。この統合された低運用の取り込みソリューションにより、データはソースシステムからレイクハウスへダイレクトに流れます。

この変革の要が Zerobus Ingest。テレメトリー取り込みを簡素化する新しいダイレクト書き込み API です。Kafka 風のキューから Spark ジョブで引き出すのではなく、Joby のオンプレミスエージェントは 1 ホップでテレメトリーデータを Delta テーブルに直接プッシュします。「メッセージバスも取り込みジョブも、データの重複もなくしました。今は Databricks に直接プッシュするだけです。余分なインフラの保守も不要で、中間層による遅延もありません」とミュラー。

Zerobus Ingest とカスタムの Joby 転送エージェントを用いた、スリムな取り込みソリューション。
Streamlined ingestion solution using custom Joby forwarding agents with Zerobus Ingest.

Zerobus Ingest は、IoT やテレメトリー、クリックストリームなどの運用データソース向けに設計された、高性能なサーバーレス取り込みサービスです。Joby は各工場拠点でカスタマイズしたオンプレミスエージェントを使い、センサーや機器のデータを毎分ギガバイト単位でストリーミングし、ほぼリアルタイムに可視化できるようになりました。「拠点ごとに状況が違うので、カスタマイズできて、かつ導入が簡単なものが必要でした」とミュラーは説明します。「Zerobus Ingest SDK を使って、既存のパイプラインにシームレスに統合できるプラグアンドプレイのエージェントを構築しました。完全にコントロールできるようになったのです。」

アーキテクチャは、シンプルで賢くなりました。Zerobus Ingest 経由で Delta テーブルに書き込まれたデータは、Joby の分析基盤や AI スタック全体から即座に利用できます。Lakeflow Declarative Pipelines が、生のテレメトリーを構造化されたインサイトへ変換します。各部門のチームがほぼ即時に最新データで動けるようになり、工場のトレーサビリティからフライト性能の分析までを支援します。ミュラーの言葉を借りれば、「数秒のレイテンシで、ダッシュボードを動かし、アラートを発し、下流のモデルにデータを供給しています」。

重要なのは、Zerobus Ingest が Databricks Data Intelligence Platform と強固に統合されていることです。ストレージ基盤には Delta Lake を用い(性能とスキーマの厳格化を担保)、ガバナンスとセキュリティは Unity Catalog で一元化します。レコードが書き込まれた瞬間からガバナンスが効き、見つけやすく、分析・機械学習・コンプライアンスの各ワークフローで利用可能です。

Zerobus Ingest は、Joby の運用テレメトリーへの取り組み方を一新しました。ミュラーは「数千台のデバイスから同じテーブルに同時に書き込めるので、タイムリーなインサイトの提供に役立ちます」と説明します。アーキテクチャの制約に合わせて工夫するのではなく、いまではデータが(工場からレイクハウスへ)ネイティブに流れ、重要度の高いイノベーションを支えるシンプルさと信頼性を備えています。

より速いインサイト、仕組みはシンプルに

Zerobus Ingest の採用により、Joby はテレメトリー取り込み基盤の複雑さとコストを大幅に削減し、イノベーションを回すために必要な速度とスケールを手に入れました。

Databricks 導入前は、各工場のテレメトリーがメッセージバスを通り、別々の取り込みジョブで処理されていたため、遅延や運用リスク、重複データが発生していました。Zerobus Ingest によって、そのホップはなくなりました。データは Joby のオンプレミスエージェントから Delta テーブルへ、余計なインフラ運用なしで最小限の遅延で直接流れます。ミュラーによれば、「Zerobus Ingest によって、製造拠点からレイクハウスへ毎分ギガバイト規模のテレメトリーを送っています。メッセージキューや壊れやすいパイプラインに悩まされることはもうありません」。

効果は明らかです。すべてのデータは 5 秒以内にクエリ可能となり、リアルタイムダッシュボードの駆動や緊急アラートの提示、時間に敏感な判断の支援に十分な速さを実現します。Joby のエンジニアやビジネスアナリストは、ほぼリアルタイムのデータで作業できるようになり、工場オペレーションと性能最適化の間のフィードバックループがより密になりました。「いまや、テレメトリーはリアルタイムの資産です。数秒で、悪い方向への傾向を把握して手を打てます」とミュラーは説明します。

同じくらい重要なのは、Zerobus Ingest により、アーキテクチャを作り直すことなくスケールできるようになったことです。各接続は最大 100 MB/秒のスループットをサポートし、システムは数千の同時ストリームを処理します。複数の工場フロアと急速に拡大するセンサー設置に対応する成長企業にとって欠かせません。「Zerobus Ingest は速いだけではありません。私たちの成長に合わせてスケールします。拠点やデバイス、データが増えても、何も作り直す必要がありませんでした」とミュラー。

イノベーションを続ける中で、Joby は自社のスタックを戦略的優位性と捉えています。ミュラーの言葉を借りれば、「工場の現場からデータを取り出し、意思決定者の手元に届けるまでが、いまや数秒で完了します。それが、できることの幅を変えるのです。」