メインコンテンツへジャンプ
導入事例

機械学習による<br />顧客生涯価値の予測と創造

30%

プレイヤーの生涯価値が 30% 増大

3x

データチームの生産性が
3 倍に向上

1/40

ML モデル実運用までの時間を
1/40 に短縮

INDUSTRY: Gaming
CLOUD: Azure

「データドリブンであること、すなわち、データと ML を活用してプレイヤーの行動を理解し予測することは、世界で最もプレイヤーを重視するゲーム会社になるという私たちミッションを達成するうえでとても重要です。」

Kolibri Games CTO 兼共同創業者オリバー・レフラー氏

ベルリンを拠点とする Kolibri Games(コリブリゲームズ、以下 Kolibri)は、プレイヤーを重視したゲーム会社たることを理念とし、現在最も人気のあるモバイルゲーム会社の1つとしてヒットタイトルを生み出しています。中でも「ざくざくキング:採掘王国(Idle Miner Tycoon)」や「ファクトリータイクーン(Idle Factory Tycoon)」は、月間アクティブユーザー数が 1 千万人を超える人気を博しています。Kolibri は、プレイヤーの行動や嗜好をゲーム開発やキャンペーンにおける意思決定に反映することで、プレイヤーエクスペリエンスと収益の向上を図っています。Databricks の導入により、Kolibri は、増大し続けるデータの価値の最大化、機械学習の実運用の加速、迅速なスケーリング、データチームのコラボレーションの促進を実現し、結果としてプレイヤーの満足度を向上させ、ビジネス価値を創造しています。

データ活用による顧客エクスペリエンスの向上

Kolibri は、データブリックスを活用してビジネス上の多くの課題を解決しています。Kolibri が抱えていた1つ目の課題は、データに関わる工程の合理化と、自動化による開発支援でした。CTO 兼共同創業者のオリバー・レフラー(Oliver Löffler)氏は次のように述べています。

「データチームの開発リリースサイクルは 2 週間でしたが、それでは遅すぎました。適切な "インゲーム" の変更をタイムリーに、かつプレイヤーとの関連性を高めつつ確実に行うための自動化が必要でした。さらに、プレイヤー重視の戦略を維持しながら各プレイヤーの潜在的な生涯価値を評価して、生涯価値の増大につなげたいという目標がありました。プレイヤーの興味を維持するにはゲームの継続的な改善が欠かせません。効果的な改善を行うには、プレイヤーの考えを読み解くことが極めて重要になります。そこで私たちは、データサイエンスを利用してプレイヤーの行動を理解し、生涯価値を予測しようと考えました。会社の急成長とともにデータチームも拡大しましたが、コラボレーションがほとんどできていませんでした。データエンジニアとアナリストの連携がなく、考え方も異なっており、Slack を介してデータを共有する程度だったのです。」

データドリブンな基盤の構築

Kolibri は、既に Microsoft Azure でプラットフォームを構築しており、顧客獲得マーケティングの初期の試行では、収益にプラスの影響をもたらしていました。しかし、スケーラビリティと運用面に問題があることに気づきます。Kolibri における問題と解決方法について、レフラー氏は次のように述べています。

「アクティブなプレイヤーの数が月間 1 千万人を超え、複数のソースからの膨大なデータの処理は困難を極めていました。ユーザー獲得アクティビティの強化したい、データに基づいて ROI を明らかにしたいと考えました。データブリックスについては、Microsoft のアプリケーションと容易に統合できるファーストパーティサービスとして以前から注目していました。そのことがデータブリックス導入の決め手の 1 つとなりました。」

「私たちはまず、信頼性の向上とニアタイム処理の実現のためにゲームプレイデータの ETL とストリーミングを移行しました。データは、高速データアクセスとストレージを提供する Delta Lake によって Azure Data Lake に格納します。データブリックスは、データを処理し、処理したデータを Delta Lake に保存することを可能にしてくれます。スケーラビリティも確保できました。複数のマシンでの分散処理やクラスタの追加によるスケーリングが、数回のクリックで容易にできます。」

顧客生涯価値の最大化とパーソナライゼーションの効率化

Kolibri は、プレイヤーの顧客生涯価値(LTV)の予測と最大化のための ML ユースケースを開発し、かねてからの目標を達成。特定の顧客属性に対する支出と価値を予測し、その予測に基づいて効果的なマーケティングとゲームに関する意思決定ができるようになりました。結果として、プレイヤー 1 人当たりの LTV が 30% 増加し、アクティブユーザーの維持・新規獲得率も向上しています。顧客獲得単価やインストール当たりの広告コストは、データ分析に基づいた効果的なターゲティングによって最適化されています。

「データを活用することで、特定の顧客を発見し、その顧客にとって価値の高い獲得チャネルやキャンペーンを用いて対応できます。結果的に収益の増大にもつながっています。次に計画しているのが、推薦エンジンを活用した顧客離脱の予測です。プレイヤーがどのようなタイミングでゲームから離れ、プレイをやめるかの予測パターンを理解し、顧客セグメントの価格設定などを検証したいと考えています。」(レフラー氏)

MLflow を利用することで、機械学習の実運用までの時間が短縮できます。Kolibri では、かつての 2 週間が 2 時間に短縮するという成果を見ています。また、手動プロセスやエラー修正のための工数が大幅に削減できたことで、Kolibri のチームはイノベーションに注力できるようになりました。新たなアイデアや機能の変更は、データブリックス上でスクリプトを使用して迅速かつ容易に検証できます。A/B テストがより高度で高速になったため、Kolibri のデータサイエンティストは、データを調査し、Notebook を使用して、変更がプラスの影響を与えるかどうかを迅速に理解し、適切な新機能を早期に展開できるようになりました。また、Kolibri では、パーソナライズされた広告を自動表示するアルゴリズムの開発にもデータを活用しています。例えば、広告やアプリ内購入を利用するプレイヤーと利用しないプレイヤーには、それぞれ異なるマーケティングオファーを提示します。

「データブリックスのプラットフォームは直感的で使いやすく、導入してからは複数のチームが 1 つのインフラの中で共通のツールを使い、分野を超えたデータの課題に取り組んでいます。全体の生産性が 3 倍になりました。プログラミング言語も統合しました。さまざまな言語を試し、最終的には Python に落ち着きました。Notebook も、コラボレーション、問題解決、基本的なデータ分析など、さまざまな用途に活用しています。データチームは、あらゆるデータを効果的に容易に活用できるようになり、それによって新しいアイデアやイノベーションが生まれ、その成功率が高まり、収益向上につながっています。」(レフラー氏)

「私たちの知識とデータブリックスの相乗効果で、Kolibri はデータドリブン企業になりました。データと ML を活用してプレイヤーの行動を理解し予測することは、世界で最もプレイヤーを重視するゲーム会社になるという私たちミッションを達成するうえでとても重要です。私たちだけだけでは成し遂げられなかったことです。」(レフラー氏)